イヤイヤ期がない親の特徴とは

わたしは現在2歳の息子を育てている。

2歳といえば、「魔の2歳児」とよばれるすべての事柄に対していやを連発し、親を確実に疲弊させていく恐ろしい世代である。

わたしの息子は外面がいいらしく、外ではイヤイヤいうことは少ないのだが、その分家庭内ではただひたすらにいやいやいやいやを爆発させている。

お気に入りの毛布を洗濯しようとすればイヤ!ジュースでなくお茶を渡せばイヤ!お風呂の時間は絶対にイヤ!お散歩もイヤ!とにかくすべてがイヤ!

息子はフランス料理のフルコースのように、食事のメニューごとにスプーン、フォークを取り換えるのだが、わたしがその数を1つ見誤ったことが原因で「スプーンなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぃいいいいいいいいいややややややあああ」と30分泣き続けていた。

わたしは元々子どもの扱いに慣れていなかったこともあり、このイヤイヤ期にはずいぶん苦しめられてきた。いや、今も苦しめられているのだが、イヤイヤ期開始から時間がたったこともあり、イヤイヤ期の子どもの対応および、親の気持ちの持ちようについてはほんっつつつの少しだけ理解が少し進んだように感じている。

それはある出来事がきっかけであった。

あるスーパーマーケットで子ども(推定2歳)が泣き叫んでいた。よくみるとそれは知り合いの子どもであった。どうやら自分の求めるお菓子が購入してもらえず、泣き叫んでいるようだった。

わたしはお気の毒に…と気持ちで知り合いに近づき、あいさつをした。

そして「イヤイヤ期たいへんだよね。」といった。すると予想もしなかった言葉がかえってきた。

「うーん、うちの子はあんまりイヤイヤってのはないんだけどね。でもまぁたいへんだよね。こう泣いちゃうと」

私は耳を疑った。え?イヤイヤ期ない?今まさに泣いてるのがイヤイヤではないのか???

彼女に思わず聞くと、彼女は「これはイヤイヤしているわけではない」と言った。「これは自己主張であって、イヤイヤしているわけではないよ。」ときっぱり答えた。

えーどう考えてもイヤイヤしてるやーんと心の底からつっこんだ。というか自己主張=イヤイヤではないのか。私の理解を超越した回答に、困惑した。しかし彼女は、息子が暴れまわり自己主張することを「イヤイヤ」として捉えていないことがわかった。

もしかするとイヤイヤ期なんて、幻想で実際にはないのかもしれない。イヤイヤ期があった、なかった、ひどかった、というのは、あくまで親の解釈で決まる。2歳代になると「イヤイヤ期がはじまった」、「今がイヤイヤ期のピークだ」と考えることが多いが、それはあくまで親が子供を「イヤイヤ期」というワードで解釈し、勝手にイヤイヤ期を設定しているのである。

もちろん2歳代になると、自主性や自律性がめばえ、自我を爆発する時期が、多かれ少なかれどの子供にもあると思う。それは発達心理学の知見からも明らかにされている。しかしそれがイヤイヤ期とネガティブに解釈するのは親である。わたしはそのことに気付かされた。

とはいえ「なるほどイヤイヤ期って結局気持ちの持ちようなんだ!」と気づいたところで急に子どもに優しくなれる親ではないことが、つらいところではある。子供はあいかわらずイヤイヤを辞めない。したがって毎日爆発しそうな感情を何とか調整し、時には爆発しながら子育てをしている。

しかし子供を見るうえで大切な視点を彼女から教えてもらった気がした。